皆様は、お買い物をする際にどの決済⽅法を利⽤することが多いでしょうか。キャッシュレス化が進んだことで、⽀払いをするタイミングや⾦額も調整できるようになりました。 特に EC サイトでのお買い物は、オンライン決済が主流で、クレジットカードを利⽤する ⽅が多いと思います。しかし、⼤きな⾦額の買い物をする際の分割⼿数料や、新規利⽤の 登録⼿続きの煩わしさ等、スムーズな購買体験を妨げる様々な障壁が存在します。
 このような、購買体験の決済に関連する、あらゆる障壁を解消し、誰でも⾃由で主体的な買い物 ができるサービスとして、株式会社 Paidy 様では、あと払いサービス「ペイディ」を提供しています。ユーザーファーストなサービスを作るために、どのような UXデザインが⾏われているのか、株式会社 Paidy 様のエクスペリエンスチームにお話を伺ってきました。

 株式会社 Paidy 様(以下、Paidy)は、「お買い物に“めんどくさい”はいらない。」をミッションに掲げ、あと払いサービス「ペイディ」(以下、ペイディ)を提供している会社です。シンプルな UXや「翌⽉⼀括あと払い」または「分割あと払い」で⽀払いが可能な利便性、スマートフォンで、かんたんに賢くお⾦の管理ができる点等から幅広い年代のユーザーが利⽤しています。

 初めに、Paidy では UX を概念としてどのように捉えて表現しているのか、エクスペリエンスチームを総括する佐々⽊⽒にお話を伺いました。
■UXとは
 UX(ユーザーエクスペリエンス)の定義は会社や組織によって様々で、時代に合わせて、その捉え⽅も変化しています。UI(ユーザーインターフェイス)に焦点を当て、製品・サービスに対する個⼈的な知覚や反応と捉えられる場合もあれば、エンドユーザー と企業や製品・サービスとの相互作⽤を包括した概念と捉えられることもあります。組織が提供するサービスの特徴に合わせて UX の定義を明確にし、組織内の認識を統⼀することは、UX デザインの質を⼤きく左右します。

 Paidy では、サービスを知ってから愛着を持って使ってもらうまでの全ての体験を UX と 捉えています。なぜなら、ペイディはアプリを使ってもらうだけで完結するサービスでは なく、ユーザーに欲しい物ができる段階から、決済⼿段を選び、⽀払いを完了する等の 購買⾏動全体を通してユーザーの⾃⼰実現を⽀援するサービスであるためです。そのため、⽣活の中の買い物という場⾯に対し、どのようなアプローチが出来るかといった幅広い視点 で考え、ペイディを直接使⽤していない時間すらもデザインしているのです。

■Paidyの提供価値
① ユーザーが夢を達成できる UX デザイン
 Paidy では、ユーザーが将来的に達成したい「夢」を提供価値の指針として⼤切に扱っており、分割手数料無料の分割あと払いという⼿段で新たな買い物の⽅法を提供することで、ユーザーが 「夢」に近づくことができる状態を⽬指しています。このような指針が⼤切な理由として、単純な機能の設計にとどまらず、お客様との「信頼関係」を構築することこそが、サービスの重要な要素であるためだと佐々⽊⽒は語ります。例えば、決済に関わる重要な個⼈情報を「早く、簡単に⼊⼒できる」 だけでは、ユーザーの継続的な利⽤は⾒込めません。

 ペイディの本⼈確認画⾯を例に出すと、効率的に情報を⼊⼒してもらうための、必要最低限な情報を入れた画⾯から、情報を⼊⼒するメリットや理由の説明を加えた画⾯に変更したことで、本⼈確認の完了率が⼤幅向上しました。ユーザーの視点に⽴って個⼈情報を⼊⼒する必要性や、その情報がどのように使⽤されるのかを伝えることは、とても重要な要素であることが分かります。
② “Delightful”な体験を⽬指す
 Paidy では、”Delightful”、つまり喜びを感じられるようなインタラクションを設計する ことを明確な指針として位置付けています。アプリの機能性はもちろん、ユーザーがサ ービスに対してどのような気持ちを感じるかという、感情⾯も含んだコミュニケーショ ンを⼤切にしています。


 佐々⽊⽒は、デザインの役割について、「デザインの役割は、世の中にある課題を解決 するための設計をすることで、課題を理解してソリューションを出し、それがどのように世に出るのかまでを責任を持ってケアすることが重要なんです。そのためには、ユーザー が使⽤した時に、どのような反応をするのか、どう感じるのかというところまで考える必 要があります。」と語っています。
 Paidy では、何かを達成できた時の満⾜感や、将来に対する期待感を”Delightful”と表現 し、明確な指針として位置付けています。操作が簡単で、分かりやすい「快適」な状態は 必要最低限な要素であり、そこで満⾜してしまわないようにする狙いがあります。

■ユーザーは誰?
 UX デザインの対象は幅広く、サービスを直接利⽤するユーザーから、システムを 運⽤する従業員等、ステークホルダー(利害関係者)全てに関わる体験をカバーします。Paidy ではサービスを利⽤してくださるお客様をユーザーと呼び、サービス提供側の従業員や加盟店と区別して呼称して います。ユーザーは、サービスを頻繁に使っている⼈だけではなく、サービスをまだ 認知していない⼈や、使⽤を⽌めてしまった⼈等も含みます。

■Paidyのエクスペリエンスチーム
 Paidy では、4つの部署に分かれた、エクスペリエンスチームでユーザー体験だけではなく、顧客体験や従業員体験を向上させる取り組みを⾏なっています。UXや BXも包括した広い概念として 顧客体験と捉え、デザインの対象としています。

 Paidyでは、ビジネスにおいて「良い顧客体験を実現すること」を特に重要視しており、Experienceという部署がその役割を担っています。Experienceの中には、 BXデザイン、UXデザイン、コンテンツ、UXリサーチの部署があり、それぞれのスペシャリストが顧客体験向上を目的に動いています。
 UX/UIデザインはユーザージャーニーにおける顧客体感のデザイン全般を担います。BXデザインはブランドのデザイン全てを統括し、グラフィックデザインを中⼼に、オフィス環境等の従業員体験も担当します。また、⾔葉を専⾨に扱い、ユーザー の満⾜度や理解度に貢献するのがUX ライティング&コピーライティングチームです。UX リサーチチームでは、データ分析チームやマーケティングチーム等と連携しながらユーザーインタビュー等を通して購買⾏動に関する深いインサイトを探るリサーチを⾏っています。
 次回以降の記事で、UX リサーチチーム、UX ライティング&コピーライティングチームが、どのようなお仕事をしているのか紹介させていただきます。

 今回は、Paidy の考える UX について、ペイディの提供価値に基づき、どのような要素が デザインの対象となっているのかを、佐々⽊⽒に紹介していただきました。使⽤する⾔葉 ひとつとっても拘りがあり、「Paidy 独⾃の UX」を明確に定義している点が印象的でした。サービスの UX デザインついて、少しでも具体的なイメージを持っていただけたら幸 いです。
 次回は、引き続き佐々⽊⽒に伺った、Paidy の組織作りについて紹介させていただきます。11 ⽉ 29 ⽇(⽔)公開予定です。

■取材にご協⼒いただいた企業様
株式会社 Paidy
 所在地:〒107-6212 東京都港区⾚坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー12 階
 代表取締役会⻑:ラッセル・カマー
 代表取締役社⻑ 兼 CEO: 杉江陸
 設⽴:2008 年
 事業内容:あと払いサービス「ペイディ」
 コーポレートサイト: https://corp.paidy.com/