コミュニケーションツールとして、チャット機能のあるアプリやサービスは、メールよりも使っているという方も多いかと思います。コミュニケーションツールとして、新しいチャットシステム24時間限定WEBコミュニティ「Juwwa」を開発し「バブルUIテクノロジー」を生み出した Juwwa株式会社CEO奥村慶太氏にインタビューを行ってきました。

目次

1 「Juwwa」について
2 「バブルUIテクノロジー」
3 Juwwaを取り入れた野球観戦での実証実験
4 24時間WEBコミュニティのこだわり
5 今後のユーザーとの関わりについて
6 まとめ

1 「Juwwa」について


物腰が非常に柔らかい笑顔が素敵な Juwwa株式会社 奥村 慶太氏

-24時間WEBコミュニティ「Juwwa」を開発しようと思ったきっかけを教えてください。

元々はNFCタグシールを使ったWEBサービスを考えていたのですが、ユーザーインタビューしたところ「コミュニティが発生する場で、会話だけではなくその場だけで使えるチャット機能もあれば盛り上がるのではないか。」と考えたことが「Juwwa」の着想のきっかけになりました。着想中に様々な方へ提案や相談する機会があり、「その中で「プロバスケットボール・Bリーグ仙台87ERS」の試合でJuwwaを使った、実証実験をやらせていただけることになりました。そこで、NFCタグシールを利用した24時間限定チャットの実証実験とプロモーション動画の作成を行いました。

実証実験結果

実証実験で、自分自身が一人のユーザーとして体験した結果、

「縦軸のチャット表現に全く心を動かされなかった。自分が感動できないもの他の人が面白いと思う理由がない。」

そこで、なぜ面白くないと感じるのかを分析すると、
・人は、他の方が関心を示しているものに対して関心をもつ
・必ずしも、時系列としてリアルタイムで見る必要はない
ということを発見しました。そこで考え出したのが、現在「Juwwa」に使用している「バブルUIテクノロジー」です。

2 「バブルUIテクノロジー」


「バブルUIテクノロジー」とはどんなものでしょうか。

今まで存在しているチャットは縦軸で無機質なものであり、返信数やイイネの数で関心の有無が見えるものでした。「バブルUIテクノロジー」では
1.画面上にバブルのような丸いUIを起用し、コメントをするとバブルがコメントと共に出現。

2.関心がある投稿はバブルとして大きくなり、一定時間経過し評価されないコメントはバブルがはじけたように消されていくため、より関心が高くなるコメントだけが表示されます。

3.投稿内容については監視しており、誹謗中傷やセンシティブな内容については、キーワード設定を行うことで表示されないもしくは削除され、よりクリーンな形でファン同士のコミュニケーションが取れることが特徴です。

コメント表示に『〇』というUIを採用することで攻撃的な投稿をしづらいというような心理的な効果も期待しています。「バブルUIテクノロジー」を利用したJuwwaをプレスリリースしたことがきっかけで、様々な問い合わせが来ましたが、そのうちの一つが野球観戦でのJuwwaの利用でした。

3 Juwwaを取り入れた野球観戦での実証実験


-野球にJuwwaチャットを取り入れる上での課題とかはあったのでしょうか。

Juwwaの「新しいスポーツ観戦の形を作りたい」という想いと、阪神電気鉄道様の「コロナ禍の影響でスポーツ観戦文化自体が衰退してしまう」という危機感に両社が互いに共感したことをきっかけに、無観客試合でJuwwaを使いファン同士のコミュニケーションの場を設けるという、「阪神タイガースTV応援チャット」のプロジェクトを発足しました。
このプロジェクトをすすめる以前より、スポーツやイベント主催者の課題として、いくつか内容があがってきていました。

1.若年層のスタジアム離れ

・テレビや動画のほうが、様々な情報が流れてくる上、試合をベストアングルで楽しむことができる
・Youtube等で頻繁に新しいコンテンツが流れてくるため野球の攻守交替時のような「間」を苦手としている。

2.スポンサー企業の露出度について

・スポーツ業界はスポンサーがいることで成り立っている為スポンサーの露出を多くする必要がありますが、それがまだまだ不足しています。スタジアムやアリーナで行う野球は、非日常空間があり試合前や試合中などは特に熱量が集まりやすい空間になります。しかし試合が終わるとツイッターなどのSNSへばらばらに発信されその熱量が分散してしまいます。Juwwaでは、「試合前・試合中・試合後」のファンの熱量を分散させず、球団・スポンサーと共有することでコミュニティを築くプロダクトとして活用することができます。

「阪神タイガースTV応援チャット」では、上記の課題も踏まえ、実証実験を行いました。その参加方法は、阪神タイガースの公式LINEアカウントと友達になっている方へ招待URL付きのLINEメッセージを送信し、参加希望の方は任意でご参加いただきました。

-数あるコミュニケーションツールでなぜ「LINE」を活用しようと思ったのでしょうか。

JuwwaではLINEプラットフォームを採用しています。ファン層には、若い方から年配の方までいるため、どの年代でも利用しているツールやプラットフォームを検討する必要がありました。そのツールとして最も適しているコミュニケーションツールアプリが「LINE」だからです。
他のアプリではアプリからの通知をOFFにされる傾向がありますが、LINEなら通知OFFしている人がほぼいないことや、通知がきても嫌がられないという点があります。
また「LINE」にはLINE Front-end Framework(LIFF)というサービスがあり、「バブルUIテクノロジー」を利用したJuwwaをLINEブラウザで開くことができます。「LINE」を利用してイベント前から、ファンは今から始まる試合の期待感を共有でき、試合中での盛り上がり、試合後には今日の試合の振り返りを共有することができます。また、スポンサーやイベント主催者は、グッズや販促のキャンペーン告知やファンの動向を確認することができます。
イベントに参加しないと得られない体験をより一層盛り上げるために、イベント参加者限定のチャットを利用することでコアファンがライトファンを誘い、ライトファンがコアファンになることでファンを増やしていくことができるのが「Juwwa」です。

-大きな環境の変化で現在イベント開催が難しいかと思いますが、何か大きく変えたことはあるのでしょうか。

様々な実証実験を検討していたのですが、今回の環境変化で無観客での利用を考える必要があり、コンセプトを変更することにしました。元のコンセプトは、その場に行かなければ利用できないコミュニケーションツールでしたが、どこからでも参加することができるコミュニケーションツールへ仕様を変更しました。

-大きくコンセプトを変えて問題なかったのでしょうか?

コンセプトにこだわり続けることより、「Juwwa」をより多くの人に利用してもらいたいという思いから変更しました。

4 24時間WEBコミュニティのこだわり


-24時間限定WEBコミュニティということですが、24時間という制限の理由について教えください。

「実は、24時間じゃなくてもいいんです。」

24時間という時間は、例えば初対面の人との食事の席で話が盛り上がってLINEグループを作ったとしても、その日のうちは写真の交換などをしますが、24時間もたったらグループ内で発言しなくなり、だからといってグループを抜けることをしにくいという体験から、24時間という制限を設けました。24時間じゃなくても12時間や48時間でもいいのですが、『時間制限』を設けるメリットはあります。

・24時間限定商材の告知

試合中であれば、ビールのCMを配信することができる。
試合後には、例えば過去の試合や別のチームの試合も見たいと思った人に、動画配信サービスの宣伝配信も可能ですし、ジムにいって汗を流したくなった人にジムのCMを流すなど様々な形で活用することができます。
スポーツを起点とした人の心情がどのように推移されるのかを組み立てることができます。人の関心が高く継続している24時間限定だからこそできることがあります。

・肖像権や著作権侵害に関する対応

野球やサッカー等は、肖像権や不適切なコンテンツの投稿など著作権侵害など非常に厳しい目をもっていますが、24時間限定であれば自動的に削除されるので非常に企業として安心することができます。

5 今後のユーザーとの関わりについて

-最後にJuwwa株式会社が目指すこれからのユーザーとの関わりについて教えてください。

多くの人に使ってもらって体験してほしいと考えています。
それには、Juwwaを単体で利用するというより、他社サービスに「バブルUIテクノロジー」を組み込んでもらうことを考えています。例えば、ニュース記事に対するコメント欄に「バブルUIテクノロジー」を利用したチャットシステムを取り入れる等、様々なユーザーコミュニケーションパートに「バブルUIテクノロジー」を取り入れてもらうことを考えています。
今後の予定としては「バブルUIテクノロジー」にAIを導入し、コメントの投稿内容から感情を読み取り、アニメーションやバブルの色などを感情に合わせて変化させる等WEBでありながらもより「人間的な要素」を組み込んでいく予定です。
Juwwaの「バブルUIテクノロジー」を世界中で利用できるようにライブラリー化し、利用者がポジティブな会話で盛り上がれる世界観が生まれるシステムを作りたいと考えています。

6 まとめ

取材中終始熱い思いを語っていただきましたが、インタビューを通して感じたことはUXを基にしたプロダクトやサービスの提供を実施し、実証実験やコミュニケーションをとることで課題発見し、解決策を常に分析しサービスデザインを行っていると感じました。
現在は「バブルUIテクノロジー」の利用を検討したいクライアント企業様の募集やJuwwaサービスを大きなプロダクトに変えていく為の言語解析者やWEBサービスのライブラリ化に対応ができる人材をグローバルに募集しているとのことでしたので、興味がある方はJuwwa株式会社までご連絡下さい。