UXについて調べると出てくるキーワードして、“ペルソナ”や“ユーザーストーリー”という言葉が出てくるかと思います。ただ、このユーザーストーリーが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、一人でもユーザーストーリーの作り方が学べる方法をご紹介していきます。
ペルソナの定義
UXにおけるペルソナとは、対象の商品やサービスシステムを利用するユーザーの代表となる人物像の事です。
代表的なユーザーとは
目的によって異なりますが、ECサイト等で、ヘビーユーザーを増やしたいということであれば、ヘビーユーザーの代表的なユーザー像がペルソナになります。採用を増やしたい等であれば、採用したい人物像のユーザー像がペルソナになります。とはいえ、いきなり最適なペルソナづくりをするのは難しいと感じるかもしれません。まずは、簡単なところから行っていく方法があります。
それは、自分自身をペルソナとすることです。
自分自身が、利用している商品・システム・サービス等はそれらを提供している企業から見たときにペルソナとして設定している要素が含まれていることが多いです。そのため、自分自身をペルソナととらえてみましょう。
ユーザーストーリーの定義
UXにおいては、設定したペルソナがどのような行動をとるのかを行動分析を行いその内容をストーリーとして図示化することです。
【下準備】
1.ペルソナ(=私)シートを作成する
ペルソナを作る上で大事なのはよりリアルなユーザーです。そこで、自分自身をペルソナとしてアウトプットします。
【名前/性別/年齢/住まい/趣味】
ご自身の写真があればなお良いです。またご自身が自由にできる金額なども記載しておくとよりわかりやすいと思います。
2.対象の選定
自身の趣味や日常的によく利用するお店やサービスを考え自身がヘビーユーザーとして利用している商品・サービス・システム・店舗をピックアップします。できる限り最近知ったもので、興味を持って体験したものを選ぶようにしましょう。
例)
ゲーム:どうぶつの森
乗り物:カローラ
映画:AmazonPrime
買い物:ショッピングモールイオン
上記にて、下準備は終わりです。
ユーザストーリーを作る
ユーザーストーリーを作る際に大事なことがあります。それがUXの期間設計です。
【認知・興味・体験中・体験後・体験の累積】
の5つのフェーズで考えます。5つのフェーズを中心にユーザーストーリーを作成していきます。難しく感じるかもしれませんが実際に例をご紹介していきます。
【①認知】
対象として選定した商品・サービス・システム・店舗をどのような経緯で知ったのかを書き出します。
例)
・家族に連れられた先がイオンだった。
・自宅にいることが多く、テレビのCMやYouTubeの動画をみてどうぶつの森を知った。
・免許を取ったので、車を買おうと思って寄ったトヨタのディーラーで見た。
・ネット通販を始めてみようと思っていたら、家族からAmazonPrime会員なら映画も見れると聞いた。
等
簡単なモノでも構いません、より自身が興味があるものを対象とするいいでしょう。具体的に知ったきっかけとして、広告で知ったCMで知ったなど媒体や、場所等があると非常に良いです。
【②興味】
①で知った際に、なぜ興味を持ったのかを書き出します。
例)
・イオンにはいろんなお店があり、お気に入りのお店があるから。
・テレビなどでブームだと聞いたし、友人にもどうぶつの森をしていると聞いたから。
・いろんな車を見たけど、補助金や機能、なにより車の見た目が気に入った。
・自分はあまり映画をみないけど、買い物もするので広告バナーでも送料無料になることも考えてコスパがいいと感じたから。
等
ご自身が興味を持ったことを主観で記載していきます。主観ではありますが、より具体的になぜ興味を持ったのかを深堀してみてください。好きな俳優さんがお勧めしていたから等でも構いません。
【③体験中】
初回の体験中にどう思ったのかを記載します。
例)
・気になる商品がいっぱいだけど、今日はこの服を買おう。楽しい
・なんで狸がアロハきているんだろう、最初は何をすればいいのか。よくわからない。素材使って物が作れるようになるんだなぁ。
・購入時の書類や確認作業が疲れた。納車日未だだけど届くの楽しみ。
・契約してみたけど、意外と見たい映画あるなぁ。今度の休み見よう。
等
こちらも直感で構わないです。注意すべきところは体験した後では体験中に感じたことです。
過剰書きでいいので思い出せる限りで記載してみましょう。
【④体験直後】
初回の体験後にどう思ったのかを記載します。
例)
・イオンでは、満足する買い物ができたけど、おしゃれ感よりかわいい系の服が置いてあるお店が欲しい。
・どうぶつの森をプレイしてみたけど、よくわからない。とりあえず素材集めてテント暮らしから脱出しようかな。
・購入時の書類や確認作業が疲れたけど、納車された!ピカピカでうれしい。早速運転してみようかな。
・契約したので、見たい映画を見てみた。シリーズもあるようだけど有料なのか。とりあえず1カ月様子見して他のも観てみるかなぁ。
等
体験した後の考えを引き出していきます。体験後のほうがより全体的に見ることがあり印象に残ります。具体的に描くことを意識してみましょう。
【⑤体験の累積】
何度も利用してどう変化したかを記載します。
例)
・良く行く店はできたけど、あまり変わり映えがなくて飽きてきた。もっと新鮮さが欲しい。よく行くのでラウンジを利用できる会員になった。
・ゲーム内で、家ができたり商店ができて楽しくなってきた。作りたいものがいっぱいあるけど、遊びすぎて旦那に怒られた。アップデートが来るたび、新しいものが増えるので楽しいけど時間を決めてやろう。
・運転楽しいけど、車の中の設備を充実させたい。燃費メーターを意識しているけど燃費がいいと嬉しい。
・とりあえず、見たい映画は見たから解約しようかなぁ。プライムデー終わって買いたいモノ買ったら解約しよう。ともったら、子供と奥さんが見たいらしい。解約はしばらく待つかな。
等
何度も体験することで得た体験と、その体験から得た自身の感情をより具体的に記載してみましょう。出来事がある場合には、その出来事からどう感じたのかを書いてみましょう。
ユーザーストーリーの作成
上記の【認知・興味・体験中・体験後・体験の累積】を繋ぎ合わせていくとユーザーストーリーが完成します。
ペルソナ(私)
ペルソナ情報:
坂本 唯香(*偽名です)29歳 女性 埼玉在住 既婚者 ゲームが好き
対象:
ゲーム(どうぶつの森)
ユーザーストーリー
【①認知】
・自宅にいることが多く、テレビや動画を見る機会が増えた。CMやYouTubeの動画をみてどうぶつの森を知った。
【②興味】
・テレビなどでブームだと聞いたし、友人にもどうぶつの森をしていると聞いたのでやってみようかな。買ってみようかな。
【③体験中】
・自宅でプレイしつつ、なんで狸がアロハきているんだろう、最初は何をすればいいのか。よくわからない。素材使って物が作れるようになるんだなぁ。
【④体験後】
・どうぶつの森をプレイしてみたけど、やっぱりよくわからない。とりあえず素材集めてテント暮らしから脱出しようかな。
【⑤体験の累積】
・ゲーム内で、家ができたり商店ができて楽しくなってきた。作りたいものがいっぱいあるけど、遊びすぎて旦那に怒られた。アップデートが来るたび、新しいものが増えるので楽しいけど時間を決めてやろう。
簡単なユーザーストーリーではありますが、この内容からユーザーの行動だけでなく、心理を理解することができます。作成することでユーザーが抱えている課題や悩みを抽出することができます。ユーザーストーリーの中に、時間や場所等の環境を追加するより良いものが完成します。
自身をペルソナとしたユーザーストーリーができたら、次は家族や友人などをペルソナとして見立てて考えつつ、実際にインタビューしてみてストーリー作りをしていくと経験が詰めます。是非いろいろなペルソナのユーザーストーリーを作成してみましょう。
まとめ
誰でもみんなが初めでわからないことだらけです。しかし、UXデザインは日常的な行動や考えにこそヒントがあるデザインです。今まで何気なく考え行動してきたことがUXにつながる為、誰にでもできる可能性があるのです。UXを知る第一歩としてユーザーストーリーを作ってみてはいかがでしょうか。
エスペーログループのUX事業部では、法人向けにチームへのUXセミナーや研修等も行っています。教育以外にもWEBやアプリへのUX導入などのご相談も受付しております。まずはお気軽にご相談ください。