IT業界に関わらず、様々な業界で『WEBマーケティング』というキーワードを耳にすることがあると思います。なんだかキラキラしていてカッコ良さそうだけど、実際どんな仕事なんだろう?とお思いの方も多いと思います。また、今後IT業界に入りたいと思っている方でも、WEBマーケティングに興味をもたれている方もいるのではないでしょうか?
今回はそうしたWEBマーケティングを、「マケキャンbyDMM.com」というサービスで実際に個人どちらにも教育事業を行っている、株式会社インフラトップ「マケキャンbyDMM.com」の事業責任者:永谷圭汰氏(以下永谷氏)に、UXを含めたマケキャンについて、伺ってきました!
目次
・株式会社インフラトップってどんな会社ですか
・WEBマーケティングに着目した理由
・マケキャンではどのような形でUXを取り入れていますか
・マケキャンの強みとは何でしょうか
株式会社インフラトップとはどんな会社ですか
取材に応じていただいた永谷圭汰(ナガタニケイタ)
新規事業開発室マネージャー / マケキャンbyDMM.com 事業責任者
株式会社インフラトップはDMMグループにジョインしている会社で、主に教育事業と人材紹介事業を行っている会社になります。教育事業としては、WEBプログラミングとWEBマーケティングを行っていて、人材紹介と組み合わせ、教育した受講生の就職支援活動までを一貫して行う事業形態となっています。当初はオンラインとオフラインでの教育事業を行っており、現在は完全オンラインでのスクール運営になります。
WEBマーケティングに着目した理由
WEBマーケティングに着目した理由は3つあります。
1.今後のWEB業界での需要
2.IT人材の枯渇
3.受講生の人生を変えたい
1.今後のWEB業界での需要を見越して
今後、WEBマーケターとしての需要がますます増えていくからだそうです。根拠の一つは、2019年にインターネット広告がついにテレビ広告を抜いたことにより、大企業でもあってもテレビ広告をやめてインターネット広告に移ろうという流れがきているため、今後WEBマーケターの需要は伸びていくのは間違いがないという観点です。
2.社会課題となっているIT人材の枯渇
経済産業省が発表したデータの中で「2030年には、最大で約79万人のIT人材が不足する」というものがあり、その社会課題に対処するべく、新卒だけからではなく、中途からでのIT業界への参入障壁を減らし、人材流動を円滑にする必要があります。今後様々な産業でDXの波が加速することもIT人材枯渇に拍車をかけているで、世界に取り残されないためにもIT人材を増やしていくという、明確な理念を感じたことも要因です。
3.受講生の人生を変えたい気持ちに答えたい
未経験からのIT業界への参入として、いろいろな職種がある中で、WEBマーケターを選んだ理由としては、本当に受講生の人生を変えるにはどうしたらいいかと、真剣に考えた結果、副業で稼げるようになるようになるスクールではなく、どの業界でも必要とされるWEBマーケターとしてキャリアアップさせ、受講生自身が自分の人生をデザインできるようにさせたいと思ったからです。
マケキャンではどのような形でUXを取り入れていますか?
受講生向けとしても企業向けとして、どちらにも意識して取り組んでいるUXがあります。
受講生に向けたUXデザイン
受講生向けのUXとしては基本的にはモチベーションを維持するための取り組みの施策の一つとして、SNSを受講生にも運用してもらっています。そしてSNSの中でもTwitterを活用に焦点を当てることにより受講生のUXを高めています。
Twitterを活用したUX
ネット上での勉強方法の一つとして「ソーシャルラーニング」というのが広く知られていますが、マケキャンではそれをさらに発展させて、教え合うだけではなく、受講生同士でお互いにリアクションを取り「ソーシャルスクラムラーニング」を取り入れています。イメージとしては、ラグビーのスクラムの様にソーシャル上でも団結し、お互いを鼓舞し合いながら切磋琢磨するイメージです。これを活用することで様々な効果が得られます。
1.受講生同士の交流がしやすい
2.学習中の孤独感を減らす
3.学びに対する承認欲求をみたす
4.小さいアウトプットができる。
5.アウトプットによる知識の定着
6.鮮度の高い情報収集訓練ができる
7.見直して復習ができる
8.運営側が受講生の変化に気付きやすくなる
受講生同士の交流がしやすい
Twitterに今日やることをツイートしてもらい、みんなでそれに対して、「コメントをしたり、いいね、ファボ、RT」するようにしています。自然と受講生同士の交流がしやすくなっています。
モチベーション管理
勉強における最大の障壁として「継続」しつづけることの難しさというのがありますので、マケキャンを最後までやり遂げてもらうためにも、受講生一人一人のモチベーション管理には力を注いでいます。Twitter利用で、オンライン学習での孤独感を減らすとともに学びに対する承認欲求を刺激することにより、勉強のモチベーションの維持と向上を促す効果があります。
アウトプット能力
WEBマーケティングでは、情報を精査する力だけではなく、それをクライアントに見せてわかりやすくするためのアウトプット能力というのも強く求められます。そのためマケキャンでは、アウトプット能力を鍛えることにも注力しています。知識を使えるようにするためには、実践し続けるしかありませんので、日々のツイートで小さいアウトプットを行い、週一回プレゼンで大きなアウトプットを行うようにしています。この小さいアウトプットを「マイクロアウトプット」と呼称していて、マケキャンでは重要な要素の一つになっています。
情報収集訓練
今までSNSをあまり触ったことない人もSNSの運用ノウハウを与えるのでITリテラシーの向上も見込めます。日頃から新鮮な情報を得るために有用な方達の一覧集などを用意しています。やはり、WEBマーケターとして情報に対する感度は常に高めておく必要性があるので、その意味でも意識の高い人材を育成できます。
受講生の変化に気付きやすい
受講生の進捗具合や精神状態を見る上でも非常に有用です。小さいアウトプットでは日々の悩みや勉強の感想をツイートしてもらうのですが、これは言うなれば受講生の生の声をそのまま聞ける場でもあるので、その為のアフターケアやフィードバックの反映も、従来のように面談時間を設けるより早く行えるのがメリットです。
例えば、教室での講座の場合、受講生が講師に質問や悩みを聞いて欲しくても、一人一人にかけられる時間が限られたり、受講生も悩みを話すのを遠慮したりしまうこともあります。しかし、Twitterでマイクロアウトプットを日々行っていれば、投稿した内容も残っているので運営側が後日チェックできます。そのため受講生の変化に気付くのにも早くなり、受講生としてもちょっとした悩みも講師陣に拾ってもらえるようになるので、スクール自体のUXもよくなります。
ソーシャルスクラムラーニングのメリット
Twitterを活用した学習メリットとしては、ソーシャルスクラムラーニングで団結して学習を進めていくので同じ目標を持った人たちの人脈も作りやすいというところです。
Twitterで#マケキャンと検索をかけて見ると、実際に受講生の学んでいる姿が見れます。
現場の擬似体験
SNS以外で意識しているUXとしては、現場さながらの実務体験を提供していることです。マケキャンでは課題として毎週のようにプレゼンを行ってもらうのですが、その課題もリアルな業務内容に近く難易度も高いです、そして講師からの指導も実際の現場の上司からもらえるような真剣なフィードバックを行うようにしています。
<実務体験例>
・広告代理店「マケキャン」に入社
・毎週上司に提案
・自分が100点満点だと思った内容を上司より鬼のようなフィードバック
・フィードバックからの修正を経て100点以上に引き揚げる
・上司に提案
・・・
上記サイクルをずっと繰り返します。受講生が真剣に作り上げたものを、講師もすごく真剣にレビューをするので、学ぶ側としてもやりがいを感じさせつつ学習に対する承認欲求を満たせるUXを目指しています。その結果、学びに対して前向きになってモチベーションも上がり、マケキャンを完走してもらえるUXデザインになっています。
当初は褒めて伸ばすタイプのスクールを行ったのですが、その時の満足度調査で「もっと厳しくしてくれ!」という声が多く、そのフィードバックを反映していくうちに、今のようなマケキャンが形成されたという経緯があります。実際今でも、毎週のように満足度についてアンケートをとっていますが、毎回90%以上が高評価を出していただけてます。
マケキャン受講生の声はコチラです。
企業に向けたUX
マケキャンは人材紹介業として多くの企業とも接するので、BtoB向けのUXへの取り組みも行っています。IT業界の採用における課題は、転職者が紹介先の企業とうまくいかず早期にやめられてしまうことです。転職者の時間も体力も浪費しますし、企業としても高い採用コストをかけたのに辞められてしまうと大きなマイナスになるため、負でしかありません。そして入社後に辞めてしまう典型的な例で、入社前のイメージと入社後のイメージのギャップに耐えられずに辞めてしまうというのがあります。これはよくないUXになってしまうので、そうならないためにマケキャンでは擬似体験を多くし「ジュニアマーケター」を育成しています。
定着する人材「ジュニアマーケター」とは
WEBマーケティングで言えば、やはりマーケティングですのでキラキラさせてよく見せることが仕事なのですが、その一方で実際の現場は非常に泥臭かったりします。そうした一般的に抱くイメージと現場の実態を知っているのと知らないのでは定着率に雲泥の差があります。
マケキャンではそこの課題に対して「未経験以上、経験未満」というところを行っています。擬似体験として「実際に入社したかのような体験」をさせてから紹介しますので、仕事内容への理解度も高くギャップも少ないので定着します。そうした人材を「ジュニアマーケター」と呼んでいます。
ジュニアマーケターも実際の業務は未経験ですので「即戦力」ではないのですが「実態を知って転職するので定着する」人材をご紹介できます。そういった経緯もあるためオンボーディングも高いのも特徴の一つです。
こうしたジュニアマーケターのような、仕事にすぐに慣れて定着する人材を紹介することで、企業側へいいUXを提供できると感じています。また、マケキャンは、紹介先の企業から「マケキャンから入社した方は、他で入社した方とスタート地点がまるで違う。」と定着だけでなく、スキル面での大きな違いも感じてもらっているようです。今まで未経験採用を考えていなかった企業も未経験を採用するリスクが減るので、今までは書類選考で落としてしまっていた優秀な人材と出会える機会が増えるのが大きなメリットだと思っています。実際にマケキャンの紹介先企業では「未経験者は取らないが、マケキャンからは採用する」という企業様もいらっしゃるようです。
IT人材枯渇を解決するためのインフラ
企業に向けたUXを意識すると共に、社会課題のIT人材が足りず日本が発展しないとなった時の、足りないところを埋めるためにIT人材を入れる。それだけでは足りないと思っています。辞める人材も減らさないとこの問題は解決されません。
その打ち手として「ジュニアマーケター」のような存在を認めてくれる社会が必要なんです。「未経験可、経験可」みたいな話じゃなく、その間の「未経験以上、経験未満」という実務体験、擬似体験する場所が今後増えて、それが社会インフラのように当たり前になる世の中になれば、人材流動も活発になりますし、個人個人の人生の自由度が上がると思っています。
マケキャンの強みとは何でしょうか
講師の質と量
講師1人に受講生は4~5人程度で取っているので、受講生が100人いたとしたら、講師を20~30人呼ぶ形です。ただ、講師も数がいればいいというわけではないで、優秀な講師を多く呼ぶために講師側の面接にも力を入れています。
これは受講生一人ひとりに毎週プレゼンをやってもらうことが理由の一つで、受講生も真剣にプレゼンしてくるので、講師もそれに真剣に対応するために、1講師辺り4~5人というのが適切だからです。講師には受講生のことを「自分の愛する部下」だと思って指導をするように教育しているので、講師も適当なレビューじゃなく、本気のレビューでフィードバックを返します。本当に会社の上司と部下のような関係になってもらうわけです。ただの部下ではなく「自分の愛する部下」だと本気で思ってもらうことがポイントになります。
就職に強い
通常の転職活動とは異なり、学習をしてから転職を行うため、転職する方の市場価値が高まった状態で転職活動が行えます。また、企業は1~3回の限られた面接で判断するのではなく、マケキャンでの3か月の学習風景やアウトプットを見て採用活動を行うことができるため、受講生にとっても、企業にとってもミスマッチが減るのが大きなメリットです。
そして、通常の人材紹介は一人当たりの面談時間が1~2時間しか設けれないところ、マケキャンでは10時間以上かけて面談を実施しています。一人一人に時間をかけ、書類添削や、面接対策、キャリアコーチングなど、を行うことで、転職成功率を高めるサポートをしています。特に、Webマーケターの疑似体験をした後の「それでもなお、なりたい理由」をしっかりと言語化します。その言語化した言葉が、入社後の心の支えになると考えています。
そうした対策やサポートにより、結果として、マケキャンの一次面接通過率は約50%(2021年2月時点)の成果がでています。これは、通常の人材紹介の相場が約30%のため、大きな成果だと思っています。その数値は、受講生にとっても、紹介先の企業にとっても「ミスマッチが少ない」ということを示していると思います。現在、定着率でも高い数字が出ています(2020年11月時点)。まだローンチして1年と少しのため、長期的な定着率ではございませんが、定着率の指標も大切にしていきたいと思っています。
疑似体験して転職するから、
受講生も企業もミスマッチが少ない。
だから、定着する。だから活躍する。
そんなストーリーをマケキャンは描いています。これからもマケキャンは、キャリアサポートに誇りを持ち、サポートを続けていきたいと思います。
※マケキャンはまだローンチして1年ですので、長期的な定着率はまだ取れていません。そのため、2020年の11月時点の定着率として94%という数字を出させていただいております。
マケキャンの今後について教えてください。
まだサービスを開始して1年ほどのマケキャンですが、まだまだやりたいことはたくさんあります。2年3年と長期的なデータも取れるようになってから色々と判断していきたいと思っています。
ただ、今後の展望としては転職する時の第一想起として
求人広告で行く?
人材紹介に行く?
それとも人材開発会社で行く?
といったようなことが、当たり前を作っていきたいと思っています。そのためにもマケキャンのような人材開発事業を行う企業が増えて欲しいなと思っています。競争環境が増えれば、クオリティはより高まっていきますので、今後はどの職種どの業界でも人材開発で擬似体験してから、就職・転職するのが当たり前になりそれが社会インフラとして根付く未来を思い描いています。
まとめ
受講生・企業共に向けるUXデザイン性、そして社会課題への取り組みと全てがつながっている素晴らしいUX設計だと素直に感じました。今後は永谷氏がおっしゃられていたように、誰でも自由に働き方を変えられて転職する際にも未経験可や不可ではなく、ジュニアマーケターのような中間の存在が受け入れられるのが当たり前の世の中になっていけばいいと取材を通して私も感じました。
今回の取材で気になった方は以下のリンクから、マケキャンについて詳しく知ることができます。興味がある方は、ぜひこちらもチェックしてください。マケキャンby DMM.com
【取材協力いただいた企業様】
株式会社インフラトップ / Infratop Inc.(DMM.com グループ)
所在地:〒150-0041
東京都渋谷区神南1丁目19番11号パークウェースクエア`2 4階
代表者:代表取締役 CEO 大島礼頌
設立:2014年11月19日
事業内容:教育事業、人材関連事業
URL:https://infratop.jp/